Webの新しいカタチ、「Web Annotation」とは

2017年5月 4日

先日、フランスのERCIMで勤務するターニャがWeb Annotationの記事「アノテーションのススメ」を掲載していました。 今回はW3Cが構想する「インタラクティブな」Web Annotationの仕組みをご紹介します。 "Annotation"とは注釈、コメント、メモやノートなど、意見を残す機能です。

W3Cが開発しているWeb Annotationシステムでは、 誰もがシェアされた文書に対して、注釈を付け加えることができるだけでなく、 その注釈までもがWeb上で共有することができます。

自分の作った文書に対するアドバイスをたくさんの人からもらえるのは、心強いですよね。それでは、その仕組みを詳しく見てみましょう。

Web Annotationの仕組み

このシステムでは、Web上に掲載された文書などのコンテンツに対して、 脚注と読者からのコメントが補足されていきます。

脚注は、掲載されているコンテンツそのものに対するアドバイスではありませんが、 読者からのコメントは、コンテンツ全体へのアドバイスだけでなく、特定の段落や文章に 注目したコメントも寄せられます。 アノテーション(注釈)の形式でコメントがなされるので、言及したい部分に集中して アドバイスを残すことができるようになっています。

この読者によるアノテーション機能がW3CによるWeb Annotationの根幹になっています。 ほかの読者が残した脚注やアノテーションに対しても、アノテーションをさらに付け加えることができます。こうしたやり取りは、ユーザー間にとどまらず、Annotation servicesという第三者のコミュニティにも共有することができます。

つまり、コンテンツを配信したユーザーのサイトだけでのコメントのやり取りだけでなく、 コミュニティを超えて、様々な人から意見を取り入れることができるようになっています。

Web Annotationの可能性

W3Cによるこのようなアノテーションの標準化の影響は大きなものとなりそうです。 アノテーションは、Web上で公開されているコンテンツ全般に関係しているからです。

例えば、大学生が卒業論文を作成する際に活用されることの多い、CiNiiや機関リポジトリなど異なる論文共有サイトからでも、共通の「アノテーションが加えられた文書」にアクセスできるようになるかもしれません。 このように、ほかの分野においても、個々のユーザーのアノテーションが蓄積されたコンテンツを、ネット上で見るのはもちろん、自分もアノテーションを付け加えていくことが可能になるかもしれません。

また、身体に障害のある方でもコンテンツを音声として伝えるというようなアノテーションの使い方も提案されています。

まだまだ開発が進む「Web Annotation」に期待が高まるばかりですね。

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