Web誕生から30年。いままでとこれから

2019年4月 3日

2019年3月、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)が誕生から30周年を迎えました。

WWWは、インターネットの仕組みとして最も重要なシステムです。
そのWebの考案者であり、世界中の人々から「Webの父」と親しみを込めて呼ばれているティム・バーナーズ=リー氏が、その心境をとあるサイトで発表していたので、本日はその内容についてご紹介いたします。

「Webの父」が今、思うこと

ティム・バーナーズ=リー(Timothy John Berners-Lee)氏は、イギリスの科学者で、30年前の1989年には、スイスのCERN(セルン)という研究所に在籍していました。日本語では欧州原子核研究機構と呼ばれています。

CERNでは、たくさんの研究者が膨大な情報やデータを扱っていました。その閲覧をスムーズに行うシステムを開発しようとして生まれたのが、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)だったのです。

それから30年。
今や、世界の半分の人がインターネットに接続していて、インターネットが当たり前の世の中になったようにも思われますが、裏を返せば「まだ半分の人はインターネットにつながっていない」ということもまた、事実としてあります。

ビジネスニュースサイト「クオーツ(QUARTZ)」にティムが寄稿した記事を読むと、Webが歩んできたこれまでの30年と、今後どのようにWebを育てていくべきか、という"父"としての思いを伺い知ることが出来ます。

Webの仕組みを考案した時、ティムは、そのシステムを独占するなど権益を貪るようなことは決してしませんでした。
むしろ、当時から「世界中の人がオンラインに接続できる」世の中を作ることをビジョンとして掲げ、研究開発やW3Cの創設など、あらゆる活動を行ってきました。

この30年という喜ばしい節目を迎えた今、インターネットがもたらす利便性の一方で、インターネットにつながる人とつながらない人との格差、違法行為や中傷などのネガティブな影響等々、インターネットに関わる様々な課題に向き合い、行動を起こすべきだと述べています。

Webが抱える課題と作るべき未来

ティムはこれから、よりよいWebの仕組みを作るために、私たちがグローバル・ウェブ・コミュニティとして、一体となるべきだと主張しています。

かつて、国際法を通じて海や宇宙空間を守ってきたように、私たちにはWebが浸透した新しい世界においても、公益のためのルールを構築し、守る責任があります。

そのために、ティムは政府・企業・市民がグローバルに協力し、オープンで平等なインターネットが守られるよう、貢献していくべきだと提言しています。

The fight for the web is one of the most important causes of our time. Today, half of the world is online. It is more urgent than ever to ensure the other half are not left behind offline, and that everyone contributes to a web that drives equality, opportunity, and creativity.

日本語訳:
(Webのための戦いは、私たちの時代の最も重要なテーマの一つです。今日、世界の半分はインターネットにつながっています。その残りの半分がオフラインのままにされないようにし、誰もが平等、機会、そして創造性を推進するWebに貢献することを確実なものとすることは、これまで以上に緊急の課題なのです。)

Thirty years after he invented the World Wide Web, Tim Berners-Lee says we all must act to save it

私たちの生活は、インターネットによって豊かで便利になりました。そして、誰もが情報を発信しそれを手に入れることができる世の中にもなりました。 しかし、あくまでもそれは「オンライン」の側の目線であり、世界を見渡すと、半分の人々はまだオフラインの状況にあります。そのことを決して忘れてはいけない、そうティムは警鐘を鳴らしてくれています。

ぜひこの記念すべきタイミングで、ティムがWWWをインターネットを作った際に抱いていた思いに触れ、そしてこれからについて考えてみてはいかがでしょうか。

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